F-F bypass法による部分体外循環下に施行した下行大動脈置換術2症例

Abstract

慢性B型大動脈解離に対して、大腿動脈送血・大腿静脈脱血(F-F bypass法)による部分体外循環下で下行大動脈人工血管置換術を2症例経験した。症例は80歳男性と74歳女性、症例1は大腿動脈送血による逆行性送血にともなう塞栓症により、周術期に脳梗塞を合併した。症例2は腹部大動脈にアテローマを認めたが、症例1で脳梗塞を合併したことをふまえ、術式および体外循環方法を修正して施行し、脳合併症を起こすことなく経過した。部分体外循環による下行大動脈人工血管置換術において、脳梗塞発症のリスクを軽減させる体外循環方法や術中モニタリング方法につき、文献的考察も加え報告する。